今日も職場で大きな声が聞こえた。

振り返ると、先輩同士がいつものように言葉を交わしている。

強い口調。

乱暴にも聞こえる言葉。

時には怒鳴っているようにさえ聞こえる。

しかし当の本人たちは平然としている。

むしろ、その後は笑いながら会話を続けていた。

きっと本人たちにとっては日常なのだろう。

長年一緒に働いてきた仲間同士だからこそ成立するコミュニケーション。

30年近く同じ職場で過ごしてきたからこそ分かり合える空気感。

そこには長い歴史がある。

しかし、私はその歴史を知らない。

入社してまだ10日ほどしか経っていない。

だから私の目に映る景色は全く違っていた。

正直に言うと、少し怖かった。

「この職場は大丈夫なのだろうか」

「自分もいつかあの言葉を向けられるのだろうか」

「皆は本当に平気なのだろうか」

そんなことを考えてしまった。

もちろん、先輩方を批判したいわけではない。

むしろ長年働き続けてきた経験や知識には尊敬の気持ちがある。

ただ、一つだけ感じたことがあった。

それは、

30年の常識は、10日の新人には伝わらない

ということだ。

長く働いている人にとって当たり前のことでも、新人にとっては当たり前ではない。

仲が良いからこそ成立している冗談も、関係性を知らない人には威圧的に見えることがある。

本人に悪気がなくても、初めてその場にいる人は不安になることがある。

その違いは誰かが悪いから生まれるのではない。

経験してきた時間が違うから生まれるのだと思う。

だから私は考える。

組織に必要なのは技術の継承だけなのだろうか。

仕事のやり方を教えること。

品質を守ること。

知識や経験を伝えること。

もちろん、それらは大切だ。

しかし同じくらい大切なのは、

安心して働ける空気を受け継ぐこと

ではないだろうか。

どれだけ優れた技術があっても、人が安心して働けなければ組織は成長し続けられない。

どれだけ経験豊富な人がいても、新しく入った人が萎縮してしまえば、その力は十分に発揮されない。

職場は長くいる人だけのものではない。

今日入社した人のものでもあり、これから入社する人たちのものでもある。

だからこそ時々立ち止まって考えてみたい。

自分たちの当たり前は、本当にみんなの当たり前なのだろうか。

ベテランだからこそ見える景色がある。

そして、新人だからこそ見える景色もある。

その両方を大切にできた時、職場はもっと働きやすい場所になるのではないか。

入社10日目の私は、そんなことを感じた。

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