気づけなかった後悔


あのとき、彼はまだ新人だった。 けなげで、まっすぐで、どこか影のあるイケメン。 僕はすぐに場内指名を入れて、よく可愛がった。 仕事終わりに一緒にごはんに行ったり、 プライベートでも時間を過ごした。

彼の笑顔は、どこか無理をしているようにも見えたけれど、 「まあ、誰にでもあることだ」と、 自分に言い聞かせていた。

数日後、彼は首を吊って命を絶った。 理由は、借金を抱えていたからだと聞いた。

僕は、気づけなかった。 あんなに近くにいたのに。 笑っていた顔の奥に、 どれだけの苦しみが隠れていたのか、 僕は見ようとしなかったのかもしれない。

あのとき、 「大丈夫?」って、 たった一言でも声をかけていたら、 何かが変わっていたのかな。

今でも思う。 僕が半分、彼を殺したんじゃないかって。

この後悔は、ずっと僕の中にある。 でも、だからこそ、 今、目の前にいる誰かの“沈黙のサイン”に気づけるようになった。 あのときの自分のように、見て見ぬふりをしないように。

もし、あなたのまわりに、 「大丈夫」と笑っている誰かがいたら、 どうか、そっと声をかけてあげてほしい。 その一言が、誰かの命をつなぐこともあるから。


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